コイツ、俺の嫁だから。【おまけも完結】
それから、那央は男を押さえた逆の手で電話を掛け、少しするとパトカーに乗った小柴くんが駆け付けてくれた。



「片霧さん! 縁さんも大丈夫ですか!?」

「うん、大丈夫です」



小柴くんは那央と代わって男に手錠を掛け、もう一人の警官が車へと誘導した。

一気に騒々しくなる路地裏で、那央が一部始終を伝える。



「他にも色々やってそうだから取り調べよろしく」

「了解です!」



敬礼した小柴くんは再び車に乗り込み、警察署へと戻っていった。

ようやく辺りが落ち着きを取り戻すと、急激に身体から力が抜けてふらつく。



「あ、あらら」

「おい大丈夫か?」

「なんか、今になって腰が抜けたみたい……」



あは、と渇いた笑いを漏らすあたしを、那央がしっかりと抱き留めてくれる。



「ごめん、怖かったよな」

「何で那央が謝るの……ほんと怖かったけど」



那央が来てくれなかったらどうなっていたかと思うと、恐ろしくて震えが止まらない。

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