コイツ、俺の嫁だから。【おまけも完結】
あまり綺麗とは言いがたいけど、那央と二人では広いくらいの官舎。
なんだか片霧家の古さを思い起こさせるような雰囲気で、あたし達にとっては結構居心地がよかったりする。
10時頃になってやっとベッドから抜け出せたあたしは、遅めの朝食を用意した。
小さなダイニングテーブルを囲んで、ゆっくり二人で食べるのがいつもの休日。
「そーいや華に彼氏が出来たんだって?」
半熟の目玉焼きを箸で割りながら何気なく言う那央に、あたしは目を丸くする。
高校の時、那央の妹の華ちゃんの悩みを聞いたことから、いつの間にか相談役になっていたあたし。
好きな人が出来たっていう相談もずっと前から受けていて、最近やっと付き合うことになったんだと聞いたばかりだった。
那央や他の皆には絶対内緒って話だったのに……!
「何で知ってんの!?」
「遼がリークしてきたんだよ。あいつの洞察力を甘く見てると痛い目見るぞ。
俺と凪が部屋に隠したエロ本も、母さんに命令されたあいつが見付けて全部捨てられたこともあったし……」
「は?」
「とにかく。警察犬並の遼にかかれば隠し事なんてすぐバレるから」