コイツ、俺の嫁だから。【おまけも完結】
『那央にぃも覚えてた？』

「うん！　花束買ってきてくれたよ」



また嫉妬しちゃうかなーと思いつつも、自慢したい気持ちの方が勝ってしまった。



『へぇ～、那央にぃって案外キザなんだね』

「あはは。でも嬉しかったよ。バラとシロツメクサの花束でさ」

『シロツメクサ？』



華ちゃんの声がワントーン高くなって、あたしは何だろうと首をかしげる。



『シロツメクサって、雑草だからほとんど花屋さんにはないのに、珍しいね』

「え、そうなの！？」



ぱっと振り向いて、ドライフラワーとして壁に飾ったあの時の花束を見やった。

そこには、もう色あせてきているけれど、たしかにシロツメクサが残っている。



「何でだろ……？」

『もしかしたら、那央にぃが道端で摘んできたのかもね』



クスッと笑う華ちゃんだけど、もし本当にそうだとしたら。

那央はあたし達の思い出の花でもあるシロツメクサを、どうしてもプレゼントしたかったのかもしれない。

そう考えるとものすごく幸せな気持ちになって、あたしは自然と笑みがこぼれていた。

< 51 / 82 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop