コイツ、俺の嫁だから。【おまけも完結】
「ぼ、僕が伝授します!」

「わーよろしく♪」



小柴くんが緊張感たっぷりの敬礼をすると、ほんわか笑顔の舞花も立ち上がった。

対照的な二人の様子を、黙って那央と見守るあたし。



「じゃー、まず後ろから襲われそうになった場合からいきますね」



そう言って、舞花の背後に立った小柴くんが、舞花の腕の上から抱きしめるように手を回す。

わぁぁ、なんかやらしくない!?

見てはいけないモノを見てるような気分。



「こうやって、腕を封じ込まれたらバンザイしてください」

「こ、こう?」

「そうですそうです! ほら、振りほどけた」

「ホントだ~簡単! ねぇ他には?」

「えっと、じゃあ正面から来た時……」



……完全に二人の世界に入り込んでいて、なんかもうイチャイチャしてるようにしか見えない。

なにこれ、護身術プレイ?

据わった目で二人を眺める、あたしと那央。



「……俺らもう必要なくね?」

「同感」



ハートを振りまいているような二人に呆れにも似た笑いをこぼしながら、あたし達はお互いにお酒を酌み交わすのだった。


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