コイツ、俺の嫁だから。【おまけも完結】
「じゃあ、声出ないように口塞いでてやろうか」

「んぅ──!」


完全に彼女を組み敷いて、深いキスをする。

ぎゅっと俺のシャツを掴み、必死で舌を絡ませる縁が愛おしくて。

今日こそは最後までやめてやらない、と心に決めたその時。


「ふぎゃ……ぁあぁ~~っ!」

「「……あ」」


元気な泣き声によって、またしても俺の攻撃は失敗に終わってしまうのである。


「ご、ごめん、パパ」


照れ隠しみたいに、あは、と笑って俺のことをパパと呼ぶ縁。

それは女から母親に切り替わった合図みたいなもんで、一気に萎えさせられた俺の腕から簡単に抜け出してしまう。

ゆなのヤツ、タイミング見計らって泣いてんじゃねーのか……。


縁がゆなを産んでから、身体を重ねたことはまだ一度もない。

産後一ヶ月は出来ないってのはわかってるからいいのだが、それからもこんな調子で、気が付けば三ヶ月もゴブサタしている。

ゆなが泣いてしまうのは仕方ないが、俺には縁自身もそういう行為を避けているように思えるんだ。

心はもうすっかりママで、俺への愛情は減っちまってんのかもな……。


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