コイツ、俺の嫁だから。【おまけも完結】
……いや、それもあるけど、一番辛いのは縁の気持ちが離れているように思えてしまうことだ。

ママになっても年を取っても、縁のことはいつまでもひとりの女として愛してる。

そう思っているのは俺だけなのか?


ナメクジみたいにうじうじしながら考えていると、小柴の手が俺の肩にぽんっと置かれた。


「大丈夫ですよ、そんなに落ち込まなくても! 縁さんが片霧さんのこと大切に想ってるのは、僕から見ても十分わかりますから」


ようやく顔を上げると、ヤツは自信がありそうな笑顔を浮かべていて、ただ慰めてくれているだけではないことがわかる。

その表情のまま、彼はさらに言葉を続ける。


「縁さん、嬉しそうにこうも言ってたらしいですよ。『私達、ちゃんと家族になれた気がする』って。それって最高に素敵じゃないですか」


……家族、か。

愛情のカタチは不変じゃない。“恋人”から“家族”に変わるのも当然のこと。

それを少し寂しく思っていたけど、そんなふうに思う必要はまったくないんだよな。

他人が家族になるのはすごいことだって、高校の時縁や健司さん達を見て思ったじゃないか。

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