きみの声を聞かせて
家のドアを開ける前に大きく息を吸う。
いつもどおり、明るい声で家に入らなきゃ。
でも、もう……そんな必要ないのか。
だってあの学校には行かないって決めたもんね。
ガチャっとドアをゆっくり開けてただいまと口にした時、
……なんだか違和感を感じた。
「…………」
わたし今ただいまって言ったよね?
なんで耳に入って来ないんだろう?
おかしいな?と思ってもう1度口を動かして、リビングにいるお母さんに向かってただいまと言った。