きみの声を聞かせて
「なんだよ?」
そう言われてどうやって説明しようかと一瞬迷ったけど、手段は1つしかないのでわたしはゆっくり言葉にした。
“あ ん た”
「それか。俺、ちゃんと夏帆って言わなかった?」
わたしはブンブン首を横に振った。
さっきもその前も確かにあんただったもん。
名前ちゃんと教えたのに。
「はいはい、悪かった悪かった。
言い訳言うのあんまり好きじゃないけどさ、女子の名前呼ぶの慣れてないから常に名前分からねぇやつはあんたって言ってたわけ。
だから徐々にでいいだろ」