きみの声を聞かせて
それなら仕方ないか!
自分だけ名前で呼んでもらえるのって特別感あってうれしいからそれで十分。
そもそも、翔矢くんはわたしの苗字を知らないから呼んでただけだしね。
「それで?バスケ部はどうするの?」
敢えて、入らないの?って言わないのには何か訳でもあるのかな?
わたしはコクンと頷いた。
そして左手の手のひらを使ってこう書いた。
((こ こ で も う い ち ど バ ス ケ し た い))
ゆっくりゆっくり、翔矢くんが「ああ」と相槌を打つたびにわたしは平仮名でひとつずつ書いた。
「いいんじゃない?それに今入部したらデビュー戦も再来月だしいい走り出しになる。
1年生大会の話は聞いただろ?」
わたしはコクンと頷いた。