きみの声を聞かせて



何にも事情を知らない女バスのみんなには話すのは正直気が引ける。



事情を知って、距離を置かれたらって思うとどうしても話せないから。



だけど、事情を知ってくれてる渚くんに、なんとなく知ってくれてる翔矢くんだったら



一緒にコートに入って試合をするわけでもなければ、この二人はわたしから距離を置くこともなく接してくれるから話せるかもしれない。



わたしは部室に戻るみんなに後をついて行かずに、一度頷くと二人のところに向かった。



「翔矢、今日ずっと夏帆ちゃんのこと気にかけてたんだよー?」



ねっ?と翔矢くんに求めながらにこにこしている渚くんに対して



「渚、余計なこと言うな」と制しながらも



「シュート一本も決まらないで失敗する音ばっかり耳に入ってきて耳障りだっただけだ。



さっさと話せ」



と不機嫌そうな表情で翔矢くんが言った。



< 186 / 308 >

この作品をシェア

pagetop