きみの声を聞かせて
なんでだろう。
いつもバスケする時は集中しようと思って、集中しているわけじゃないから思いつかない。
この答え、翔矢くんはちゃんと分かってるから、わたしに聞いてきたんだよね。
ホワイトボードを見つめたまま、少しの間考え続けたけど分からなくてわたしはフルフルと首を横に振った。
すると、翔矢くんは軽く溜め息を吐いた。
「今の自分の状況にすら気づけてないんだな。
答えはそんな難しくない。
バスケは技術や体力だけでできるもんじゃない。
技術や体力がたくさん備わっていたって精神も強くないと、簡単にその人は崩れる。
……だから、夏帆が過去にあったことは聞くつもりないけど、
お前はその過去を乗り越えて、精神面を強くしない限り、せっかく良いバスケセンスを持ってても変わらない」