きみの声を聞かせて



えっ?なんで?!



びっくりして泣いていたのに、ピタッと涙が止まって、目の前には翔矢くんの顔があった。



「こんなところで暇潰してる場合じゃなかったな。



ちゃんと捕まっておけよ」



と言うと、翔矢くんはどこかに向かって歩き出した。



ドアノブを開けると、他の学校の選手たちがいて、



このわたしのお姫様抱っこされてる姿をじーっと見てきて恥ずかしくてたまらない気持ちになった。



ちょっと待って!ちょっと待って!



わたし足挫いた後も試合に出たんだから1人で歩けると思って、翔矢くんのジャージを2、3回グイグイ引っ張った。



「何だよ?足痛いんだろ?



もうすぐ着くから大人しくしてろ。



ていうか、ちゃんと掴んでないと振り落とすぞ」



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