きみの声を聞かせて
わたしは迷わずコクンと頷いた。
わたしの他に控えがいるなら、試合に出ない選択だってできるけど
ここでわたしが試合に出ないことを決めたら、せっかく勝ったのにわたしたちの学校は棄権になってしまう。
ここはわたしの足を無理させたって頑張りたい。
だって一年生大会は一年生しか出られない自分の人生の中でも貴重な経験。
それを自分から諦めたり、棄てたりするようなことはしたくない。
しかもこれは団体競技なら尚更。
「俺でも、夏帆と同じ選択するだろうけど
試合終わったらすぐに病院行けよ」
そう言って、翔矢くんはわたしの足首にテーピングを巻き始めた。
わたしが痛くないように、優しく足を掴んで、すごく気を遣いながらゆっくりぐるぐる巻いていく。
巻き終わると今度は近くにあった冷蔵庫から氷を取り出して
小さな袋にバサッと詰め込むと、「これで冷やしとけ」と言って渡してくれた。