きみの声を聞かせて
本当は次の試合だって出たいのに、わたしのために我慢をしてまで、棄権していいんだよと言ってくれる心遣い。
でもわたしの答えに迷いはない。
すぐに首を横に振って、みんなに笑顔を向けた。
“試合に出るよ”と紙もペンもない中で、どうやって伝えようかとも思ったけど
わたしはすぐに翔矢くんが巻いてくれたテーピングの上から靴下を履いて
バッシュに足を入れて、靴紐を結ぶと少し体に力を入れて
……立ち上がった。