きみの声を聞かせて
ゆっくり足をリンクに滑らせ、滑る時は足を逆のハの字にして、止まる時にハの字にすることを翔矢くんに教えてもらいながら
少しずつわたしはコツを掴めるようになってきた。
バランスを崩して転びそうになった時は、翔矢くんに引っ張ってもらって助けてもらって。
「手離すよ?」と言った翔矢くんに不安な気持ちがありながらも小さく頷いた。
パッと手が離れた瞬間
繋いでいた手が一気に温度が下がって冷めていって
でも前には後ろを向きに滑りながら、わたしを見守る翔矢くんがいて
わたしはさっき滑っていたように足を交互に滑らせた。
そして足に集中をして、周りに注意を配れなくなった時、後ろから勢いよく滑っていた小学生くらいの男の子に
ドンッとぶつかられてわたしはバランスが崩れてしまった。