きみの声を聞かせて




わたしは……翔矢くんに守られていた。



どうやら倒れる瞬間、翔矢くんがわたしの目の前まで来てくれて



わたしは縋るように抱き着いてしまったようだ。



おかげで痛い思いしたのは、わたしではなく翔矢くんのようで、片目をぎゅっと閉じながら「痛ってぇ」と言っている。



そして、その状況を見ていたスタッフさんが急いで滑ってきて「大丈夫ですか?怪我ないですか?」と聞きに来てくれた。



「あぁ、大丈夫です。ってか、夏帆離れて」



と言われて、やっとその場の状況に気付いたわたしはびっくりしてバっと翔矢くんから離れた。



わわわっ!人がたくさんいるところなのに!!



恥ずかしすぎる!!



わたしは翔矢くんを見れなくて、ぶつかってきた小学生くらいの男の子は大丈夫かな?と思って、辺りを見回していると



今もスーっとスピード出しながら元気に滑っていて安心したけど、ちょっとムっとしてしまった。



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