きみの声を聞かせて
走って
走って
涙がこぼれてきて、息をするのが辛くなったって
視界が涙でぼやけてきたってわたしは宛もなく足が止まるまで走り続けた。
足が止まった先は土手の上。目の前には葉っぱひとつない桜並木と、止まることを知らない大きな川、
そしてこんな泣いてるわたしを夕焼けのオレンジ色の光でまるでスポットライトのように照らす太陽。
わたしは誰もいない土手の上に座ると、スマホを取り出した。
翔矢くんはわたしのことをお母さんのように心の中では違う気持ちを持っていないと信じたくて……。