きみの声を聞かせて



「今すぐ行くから家で待ってろ」



翔矢くんはそれだけ言うと、電話を切った。



違うのに



伝えられなかった……



わたしが家にいないことを



今、ここにいることを。



喋れないだけでこんなに距離を感じてしまうなんて……。



翔矢くんはここには来ない。



ここには来れないんだ……。



そう思うと涙を止めたくても止められない。



わたしはもう1人だ……。



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