きみの声を聞かせて



わたしには帰りだって何も言わなかったのに、こうやって裏で手回ししてくれる優しさ。



決して自分がやったとは言わないのが翔矢くんらしくて……もっともっと彼が好きになった。



「お母さんもね、星くんと同じよ。



どんなに時間がかかっても夏帆が声が出るようになることをずっと信じて待ってる。



お医者さんにも焦らないのが一番の完治の方法だって言われたもんね。



大丈夫、みんなついてるから」



わたしはコクンコクンと大きく2度うなずいた。



お母さんの本心が聞けて良かった。



そう思ったらホッとして昨日も泣いたのにまた安心して涙が少し流れてしまった。



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