きみの声を聞かせて



――――……。



「……それで今日は学校そっちの気でここに来てくれたんだね。本当に良かったね。



先生も夏帆ちゃんの声が聞けてすごく嬉しいよ!」



「ありがとうございます!わたし、先生に焦らないことが一番の完治への道だって言われたけど



何度も焦ったり、落ち込んだりして、そのうちにわたしはもう二度と声を出せる日は来ないのかなって思いつめた日もありました。



それでも周りで支えてくれたみんなのおかげで今日こうして、元の自分を取り戻せてすっごく嬉しいです」



朝起きて、いつものようにお母さんたちに“おはよう”と口を動かしてみると、自分の声が耳に入ってきて



わたしは学校を遅れていくことにしてお母さんと一緒に病院に来ている。



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