きみの声を聞かせて
「それは誰でも焦ったり、落ち込んだり、思いつめたりする日もあるよ。
それでも夏帆ちゃんは負けずに立ち上がって今日まで話せなくても毎日頑張ってきたから
こうして心も元気になって、また話せるようになったんだよ。
夏帆ちゃんはまだまだ若いから、これからも辛いと感じるような壁はたくさん乗り越えなければいけないことはあるだろうけど
人間誰しも、一人っきりではないことをいつも頭の片隅にでもいいから入れといてほしいな」
「はいっ!」
わたしは主治医の先生の言葉に返事をしながら頷いた。
「お母さんも良かったですね。こうして夏帆ちゃんの声が出るようになって何よりです」
「本当にありがとうございました」
お母さんが頭を下げてお礼を言っていて、わたしも一緒に頭を下げた。