きみの声を聞かせて
「これは僕がやったのではありません。全部夏帆ちゃんやお母さんが一緒に頑張ってきたからですよ。お大事にしてくださいね」
先生はにこっと笑ってわたしたちを見送ってくれた。
かばんを背負い直すと、わたしはお母さんに「早く学校に行きたい!」と言った。
「分かってるわ。このまま車で送ってあげるから。落ち着いて!」
落ち着いて!って言われても落ち着けるわけがない。
だって、やっと毎日望み続けていた声が出るようになったんだよ。
翔矢くんたちにもやっと紙やスマホを使わなくても喋れるようになったんだもん。
一秒でも早く翔矢くんに会いたい。