きみの声を聞かせて



わたしは手を揃えてごめんねと心の中で呟くと、また下を向いた。



そして、授業のはじまりを告げるチャイムが鳴った。



「別に夏帆ちゃんのせいじゃないよ!



でもね、昨日転校してきたばっかりで俺と麻美にまだ心開けないと思うけど



……それでもちゃんと話がしたいんだよね。



絶対に周りには話さないって約束するし、



夏帆ちゃんが話せない分、事情が分かれば俺たちがそばにいて何かできるかもしれないしさ。



話を聞いて噂流したり何か悪いことは絶対にしないから麻美が来たら俺たちに話してほしい」



にこにこしていた渚くんの表情は変わって、今は真剣な表情を浮かべている。



< 73 / 308 >

この作品をシェア

pagetop