きみの声を聞かせて
それを聞いた瞬間、急にびっくりした顔をして「ほんとだ!」とコソコソ声で話し出した麻美。
それに対して渚くんは「ばーか!」と麻美に返している。
そんな2人を見てわたしは微笑ましく感じた。
「……夏帆。辛い時すぐに来れなくてごめんね。
私と渚は何か大きなことを変えることはできないけど
それでも一緒にいて、話を聞くことくらいはできるんだよ?
だから、昨日の今日でまだ全然私のことも渚のことも知らないだろうけどいっぱい頼っていいんだからね!」
その言葉と一緒に麻美はノートとボールペンを渡してくれた。
麻美……。
麻美までこんな優しい言葉を掛けてくれるなんて……。
ふわっと笑ってわたしを見つめる麻美。
この二人ならわたしの酷い過去を話しても、今日言われたことを話しても
……もしかしたら変わらずそばにいてくれるかもしれない、そう思えた。