きみの声を聞かせて
授業が終わって休み時間になると3人で教室に向かって歩きだした。
そして廊下を歩いていた時、わたしたちのクラスの前で壁に持たれかかった翔矢くんが見えた。
彼は片手でだるそうに四角いものを持っている。
「翔矢ーー!さっきはありがとな。おかげで助かったぜ。
どうかしたん?」
「……まぁな」
教室の前まで着いた時、渚くんは空気を読んだのかちょっと翔矢と話すから先に行っててと言った。
「はーい!じゃあ入ってるね!
夏帆、行こう」
わたしはコクンと頷くと、一度だけ翔矢くんの方に向いてさっきはありがとうと気持ちをこめてぺこっと頭を下げた。