きみの声を聞かせて
授業が終わって放課後。
今日は家にすぐ帰りたい気分で麻美と渚くんにバイバイしたわたしは廊下を速足で歩いていた。
「ほらあの子だよ!喋れないって朝言った」
「あー、あの子だったんだ。障害者が転校してきたって言うから誰かと思った」
普段よりも小さい声で向こうは話しているんだろうけど、全然わたしの耳には入ってくる。
……朝と一緒だ。
喋れないだけでこうやって敵扱いされてしまう。
「ねぇ、きみ!本当に声出ないの?
実は喋れないフリしてるだけじゃないの?」
とわたしの肩を掴んで大きな声で聞いてきた知らない男子。
その光景を見た人、それから今言った男子の声に気付いた人はわたしを見てくる。