きみの声を聞かせて
翔矢くんは目の前の男子に吐き捨てると
わたしに「行くぞ」と声を掛けて
周りでぼーっと様子を見ていて固まっていた人達をすり抜けて昇降口に向かった。
「……悪い。むしゃくしゃして黙って聞いていられなかった」
急に足を止めた翔矢くんはさっきとは打って変わって申し訳なさそうに言った。
わたしはそんな彼の調子にびっくりしながらも急いでかばんからレポート用紙とボールペンを出して
((とんでもないです!!
今のわたしは面と向かって翔矢くんのように言える状況じゃないので
わたしの代わりに言ってもらえて助かりました。
それから生物ノートもわざわざ届けてくれてありがとう!))
書き終えると、翔矢くんの方にレポート用紙を向けた。