きみの声を聞かせて
翔矢くんはわたしの持つレポート用紙を背中を丸めながら読んでくれて
「渚からちょっと聞いたけどやっぱりあんたって……喋れないのは本当なんだ」
と言った。
わたしはその言葉にちょっとショックを受けながらも、小さく頷いた。
「でも、一生話せなくなるわけじゃなくて
時がくればまた話せるようになる、そうだろ?」
((うん。病院の先生にもいつかとは言えないけど、それでもまた話せるようになるって))
「ならさっきアイツに言われたことも何も気にすることねぇじゃん。
あんな噂流して楽しんでる奴のために涙流すの勿体ねぇからもうやめろよ。
何があったんだか知らないけどこうなったのはあんたのせいじゃないんだからさ」
翔矢くんはホッとした表情を浮かべると、じゃあなと言って部室に歩いて行こうとした。