きみの声を聞かせて



わたしはそう言われて翔矢くんに渚くんみたいに



夏帆ちゃんって呼ばれるのを想像してみた。



だけど、想像した瞬間面白くなってきちゃって、翔矢くんに怒られると思いながらも口元を隠して笑ってしまった。



「おい、絶対変な想像しただろ」



わたしは込み上げる笑いを抑えながらフルフルと首を横に必死に振る。



だけど、翔矢くんは睨みを効かせながら『嘘つけ!』と言ってくる。



「とにかくちゃん付けでなんか俺は絶対無理だから。



じゃあな」



結局、ぶっきらぼうに翔矢くんは言って部活に行ってしまった。



< 94 / 308 >

この作品をシェア

pagetop