男装彼女
side貴

先輩が悲しそうな目で俺を見つめてくる。
そんな目で見ないでくれぇぇぇ!!!!
エロ本なんですって!!!!
中身はエロ本なんです!!!!

....と口に出せたらどんなに楽だろう。

「俺が世話になったので、俺自身の手で渡したいんです。」

その場しのぎの嘘を言う。

「ふーん....、律儀だなぁ。」

よ、よかった。
セーフみたいだ。

「わかった。じゃあ、晩ご飯作るよ」

「まじですか!?」

てか、先輩料理できるんですか....?

「まさか、あたしが料理できないとか思ってないよね?」

ぎくっ....!!!!!

「おおおお、思ってないですよ?」

噛みすぎた。

「噛みすぎだし」

ふふっと、笑われた。
....かわいい....。
先輩の笑顔ハンパなくかわいい。

「じゃ、あたし作ってくるからお風呂でも入っておいで。てか、あたしの家みたい」

そしてまた先輩は、ふふっと笑った。

「お言葉に甘えて。俺、着替えとか持っていくんでキッチンに行っててください。」

「わかったー」

ーーガチャ

先輩が俺の部屋を出ていった。
はぁー....でもこれどーやって渡そう。
袋を開けて覗いていると....

ーーガチャ

「....!!!!せ、先輩!?どどどうしたんですかっ!?」

ばっと袋を自分の後ろに隠す。

「何そんなに慌ててるの。あー、キッチンどこ?」

「そ、そっちです!!!!」

俺はキッチンの方向を指さす。

「ん、ありがと」

「はぁぁあー....焦った....」
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