男装彼女

仕事

side 千
時刻は午後8時。

「....遅い....」

そう。
約束の時間の8時なのだ。

「....はぁ。毛先に行っちゃおうかな....」

ーーブロロロロロロ

「あ、来た。」

漾のバイクの音だ。
8時10分。
10分の遅刻。

どうしてくれようか。

「ごめん!!!!」

「おっそいよ!!!!なにしてんの!?」

「会議が長引いちゃってさー。着替えもしなきゃだったし。」

漾の今の服装はいたって普通のジャージ。
動きやすさを追求したのだろう。

「てか、お前誰かわかんねぇ。」

「うるさいなぁ。仕事だからだよ。」

あたしの今の服装は、全身黒のジャージにフードをかぶっている。
不審者として通報されてもおかしくない。
それに、マスク+ネックウォーマー。
完全に不審者だ。
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