男装彼女
まったく....なんでこんなことに....
「はやくっはやくっ!!!!」
「痛いから!!!!」
腕をぐいぐい引っ張りながら走る萌。
そんなに見たいか。
あたしは会いたくないぞ。
「んー....と、馨!!」
「ん?あ、姉ちゃん!!!!姉ちゃん!!なになに俺に会いに来てくれたの!?やったぁ!!」
「ちがーう!!!!貴くんって子を見に来たの」
相変わらずだな、この兄弟は....。
馨は萌の弟だ。
そして、シスコン。
もー、萌のことをこの世で一番愛している
....らしい。
「なぁんだ、貴か。あ、てか、千ねぇも来てたのか」
「いて、悪かったわねー」
「いいよー、姉ちゃんと千ねぇは目の保養になるから」
....なにそれ、意味不明。
「ねぇー、はやく貴君教えてー」
「あぁー....待ってね。貴ー!!!!」
と、なにかの集団の方を見て叫んだ。
その中からひょこっと頭が出てきた。
「あぁ、待って。今行く。じゃ、ちょっと行ってくるね」
『えぇー....』
と、ブーイングの嵐。
ホントに女の子から....。
すごー....
「で?どーした?」
へー...、こんな話し方するんだ....。
ちょっと意外かも。
昨日は敬語だったからかな
「あんな、俺の姉ちゃん!!!!かわいいだろ!?かわいいだろ!?」
「あぁ、馨の姉さん?こんにちはー」
といって、ペコッと頭を下げた。
「んで、こっちが千ねぇ。」
じーっと見つめられてる。
な、な、なに....?
「....どっかで会ったことない?」
「んー....ないと思うよ?」
え、ばれてる?
え、今までバレた事無いのに?
「ふーん....、まぁ、こんな可愛い人と会ってたら忘れねぇもんなー....」
....かわいい?
誰が?あたしが?
....目、腐ってるんじゃ?