君とお絵かき
✲莉桜視点
手が動かない。
蓮ちゃんは、確かにそう言った。
だから、目の前にいる医者も、手が動くことはないと、言ったのだ。
「嘘だ·········、冗談でしょ?」
私は医者に向かって言う。
蓮ちゃんが、手が動かなくなるなんて、嘘だ。
冗談に決まってる。
「どこの医者が、手が動かないなんて冗談言いますか。」
医者は淡々と冷酷に告げる。
嘘だ。嘘だよ。
なんかの、ドッキリなのかな。
嘘だよーって、蓮ちゃんは、笑うよね?
嘘だよね?
「っ·········。」
手足がガクガクと震える。それは、寒くて震えてるんじゃない。
怖いから。
蓮ちゃんの、手が動かなくなる·········。
私は無表情のまま、また、固まってしまった。