君とお絵かき
「何それ·········。成功率·····高いんでしょ?失敗する確率は、少ないよね?」
蓮はどこかすがるように言う。
信じていたいから。
「えぇ、成功率は高いわ。92%。」
「──でも、失敗したら、切断·········。」
そんなの、選べない。
───92%。高い。成功率は高い。
でも。
────失敗したら、切断。
蓮にとっては、失敗する確率がたった8%でも、もし、もし失敗して、手が無くなったらなんて。
(考えたくない·········。)
治るかも、しれない。
手を切断するかも、しれない。
蓮はこの選択肢からすぐに一つを選べるほど強くは無かった。
「ど···········しよ·········。」
「良いのよ、ゆっくり考えて。次に病院に行く時までに決めればいいわ。」
「ぅ···ん······」
「お母さんもお父さんも、蓮が決めた答えなら、反対しないわ。」
「·······分かった。一人に·········して。」
パタン
お母さんはそれ以上言葉を発する事なく、蓮の部屋から出ていった。