君とお絵かき
『じゃあ、なんでこの手術を受けようと思うのかい?』
正直言ってまだなんの手術だかは分からないが、蓮ちゃんの答えが気になる。
『私、まだ絵を書いていたいんです。生き甲斐を失うのは、手を失うのよりも怖いんです。』
蓮ちゃん·········
一瞬、何ヶ月か前の話を思い出す。
『『絵が書けなくなるなんて、絶対に嫌だからね』』
私も、蓮ちゃんみたいな状況にたたされたらおかしくなっちゃう。
壊れちゃうよ。
なのに、蓮ちゃんは何だか分からない手術に立ち向かおうとしているんだ。
「!」
蓮ちゃんのお母さんに背中を優しく押されたので、すーっと、ドアを開ける。
「だから、君は手術の時まで大事な友達と過ごすといいな。」
「え·········?」
お医者さんが私の事を指差すと、蓮ちゃんは私の方をみて目を丸くした。
「もうっ、心配したよっ!蓮ちゃん!」
私は出来るだけ明るく言った。
「いっ、今の話全部聞いて──」