君とお絵かき
虚ろな夢の中
「────ん。」
目を覚ました。
ここは、夢の中。
白い部屋に白い壁、ただのっぺりと広いだけのこの場所。
夢なんて認識する事は普段はない。
だが、今回は違った。
「莉桜·········私······起きたら本当に手が動くようになってるのかなぁ。」
当然返事はない────
「うん、治ってるよ。絶対。」
────あった。返事が。
「そうかなぁ······。」
だが私は返事があったことに驚くわけでもなく、そのまま会話を続ける。
声の主は莉桜。
私の大切な親友。大切な存在。
「蓮ちゃんの手は絶対治るよ。だって、私が握ってるんだもん。」