君とお絵かき
新たな障害
「·····まだかなー。」
──あれから30分。既に半分以上読み終わっていた本を置き、少し隣の部屋を覗いてみようとベッドから降りた。
「······ん?何か話し声が聞こえる·········。」
お母さんの声だ。それに、医者の声もする。
「何の話だろう·······。」
ドア越しに手を当て、腰を浮かせて話に聞き入った。
『·········から』
『··············すよね?』
途切れ途切れにしか聞こえない。
もうちょっと、近づいてみるか。
今度はドアに耳をくっつけ、話がよく聞こえるようにした。
『全身麻痺の可能性は·········』
『今のところ大丈夫と言えます』
『ですが今後気を付けていかないと·······』
─────?
(全身·····麻痺·········?)
勿論、意味は知っているが、あまり聞き慣れない単語だ。
(どっ、どういう事?)
また耳をくっつけて、話を聞く。
『全身麻痺の可能性はあります。』
『蓮さんが持ち堪えられるかどうか·········』
『先生······うちの蓮は大丈夫なのでしょうか·········ッ』
『次の手術を終えれば、その可能性は大幅に低くなります。成功率は、低いですが·········。』
「ぇ·········。」
蓮は絶句した。
(私が·········全身麻痺?手術?)
意味が分からない。分からない。
暫く放心状態でいたが、ここに居て見つかったら気まずいので、病室に戻った。
「全身麻痺になるの·········?」
読んで平常心を取り戻そうと持った本、その手は震えていた。