君とお絵かき
何かを決心するような思いで莉桜に電話をかける。
スマートフォンを持つ手はまだ震えている。
トゥルルル·········トゥルルル·········
「もしもし、莉桜?」
『うん、莉桜だよ。』
落ち着いた声で話す莉桜。
「あのさ、次の手術·········。」
『····蓮ちゃん·········。』
話の本題が分かった莉桜は、電話越しのくぐもった声であからさまに悲しい声を出す。
「全身麻痺·········。」
『·········大丈夫だよ!この前の手術だって、成功したもん!大丈夫!』
少しの沈黙の後、莉桜が声のトーンを上げて話す。
きっと、今莉桜は無理矢理笑顔を作っているのだろう。
(私の時と一緒········· )
莉桜の声を聞くと落ち着く。
ずっと聞いていたくなる。
「······ありがとう。うん。要件はそれだけ。」
だが、あまり長電話するのも悪いと思い、そう言って電話を切った。
莉桜の手に包まれたい·········。
そう思うが、それは無理だ。
泣きたい気持ちを抑えてベットに横たわった。
カチ カチ カチ·········
私しかいない病室には時計の音だけが響く。
その秒針が刻むリズムが、傷ついた心に段々とヒビを入れていく。