縁結び承ります!


....お、廊下の向こうを歩いているのは頼君ではないか?



「カノン!頼君向こうにいるよ!」



「えっ、あっ!本当だ!

でも、隣にもう一人男子がいるー。」


少し落胆した様子になるカノン。


「いいじゃない。今渡して来たら?」



「人前で渡すの恥ずかしいもん!

二人っきりの練習しかしてなーい!」



「大丈夫よ!頼君の事だから、『サンキュー!』って明るく言ってくれるわよ。」



「...そうかな?」



「うん、そうそう!」



中々踏み出せない様子だ。



でも、ラッキーなことに頼君の方がカノンに気が付いたようだ。



「あ、伊崎さーん!調理自習終わった?」



「う、うん!コレどうぞ!」



緊張し過ぎて『うん』の声が裏返っていた。


頼君も楽しそうに笑っている。



うむ、結構いい雰囲気かも。


カノンがあと一押しすればカップル成立かな?



「おいコラ、頼。

話終わってねーのに、勝ってにどっか行くな。」



こちらに駆け寄ってきた頼君の後を追って、もう一人男子が来た。



「いや~、お菓子が俺を待ってたからね。」



「はぁ?」



頼君の手の中にあるシュークリームをみて、怪訝そうな声を出す。







< 16 / 37 >

この作品をシェア

pagetop