縁結び承ります!
....お、廊下の向こうを歩いているのは頼君ではないか?
「カノン!頼君向こうにいるよ!」
「えっ、あっ!本当だ!
でも、隣にもう一人男子がいるー。」
少し落胆した様子になるカノン。
「いいじゃない。今渡して来たら?」
「人前で渡すの恥ずかしいもん!
二人っきりの練習しかしてなーい!」
「大丈夫よ!頼君の事だから、『サンキュー!』って明るく言ってくれるわよ。」
「...そうかな?」
「うん、そうそう!」
中々踏み出せない様子だ。
でも、ラッキーなことに頼君の方がカノンに気が付いたようだ。
「あ、伊崎さーん!調理自習終わった?」
「う、うん!コレどうぞ!」
緊張し過ぎて『うん』の声が裏返っていた。
頼君も楽しそうに笑っている。
うむ、結構いい雰囲気かも。
カノンがあと一押しすればカップル成立かな?
「おいコラ、頼。
話終わってねーのに、勝ってにどっか行くな。」
こちらに駆け寄ってきた頼君の後を追って、もう一人男子が来た。
「いや~、お菓子が俺を待ってたからね。」
「はぁ?」
頼君の手の中にあるシュークリームをみて、怪訝そうな声を出す。