パレット


『それでさ〜…
カオリ聞いてんのか!』


「はい、はい、聞いてますよ…」


『いやー、参ったなー!
あんな可愛い子に声掛けられて〜』


「そうね。奈々ちゃんは可愛い子だね。」


『そうそう奈々ちゃん!』

「……。」


「おい、タケル
カオリという嫁さんがいるのに浮気か?」


『ぶはは!ユウスケ
カオリは女じゃねーぞ。』

「ちょっとカオリ!パフェ食べてないで、なんか言ってやんなよ」


「…ユウスケもトモちゃんも…

それ食べないんだったら ちょーだい。」



「「…ハッ?」」


「それ、ちょーだい。」


「もぉーカオリ!それどころじゃないでしょ?

…っていうか、それって
どれ?」



『ホレ、俺のやるよ』



「ん。ありがと…」




「んーやっぱり夫婦だな お前ら。」


『なんでだよ?』


「《それ》が何か分かるからさ」


『ぶはは!簡単な事だろ?こいつは昔っからさくらんぼが好きなんだから』



(…ハーッ、だからそれをちゃんと覚えてやってる時点で特別なんだよ!)



『ん?なんか言ったか?』


「…別にぃ。」




< 5 / 52 >

この作品をシェア

pagetop