愛しています
距離
次の日。

「おはよ」
「…はよ」

凌君がいつも朝家に迎えに来てくれる。

はあ、正直昨日のことがあったからな。

何話せばいいのやら。

「「あの、」」

…。

「なに」

私は凌君に言う。

「あ、や。昨日の事なんだけど」
「…」

やっぱりその話なんだ。

「あの人、日高さんなんだけどさ」
「知ってるよ」
「そっか。俺最近そいつと仲いんだ」
「そう」

つい返事が素っ気なくなる。

そっか、だから最近なんかおかしかったのか。

なんか隠してるって感じしてたし。

納得した。

「なんで私に…」

そんなこといちいち…。

「だからって歩から離れるわけじゃないからな??」
「…」

どうだろ。

凌君はただ、約束を守ってるだけだもんね。

本当に離れたくないとは思ってくれてないよね。

正直私だけが良かった。

今までずっと、凌君の隣にいたのは私だけだったから。

それを横取りされたっていうか。

凌君の事を一番知ってるのは私だって、自慢できるくらいなのに。

それなのになんで??

「ま、それだけは言っとく」
「…」
「約束、したから」

…。

そうだね…。

学校の靴箱に着く。

すると、

ピンポンパンポーン

「至急生徒会長は生徒会室まで来てください」

放送が聞こえる。

「じゃあ俺、行くから」

それだけ言って凌君は生徒会室に行ってしまった。

はぁ…。

なんとなく、授業を受ける気分じゃなかった。

なんだろう。

凌君と今、距離があるっていうか。

今までそんな距離、無かったのに。

ずっと、出来ることならあのままが良かった。

でもそうにはいかないよね。

凌君にいつか、彼女ができること

予想してた。

今まで彼女を作らないでいたのがすごいよ。

今回のことでよくわかった。

私の事、凌君は何も思ってくれてないって。

ただ、約束を果たすだけのことで、

私に対してはなにも…。

好きなのは私だけ。

ずっと思ってるのは私だけ。

全部全部私だけ。

そう考えたら、悲しくなってきた。

保健室で頭冷やそうかな。

そう思った私は保健室に行った。
< 19 / 36 >

この作品をシェア

pagetop