愛しています
「ん…」

あれ…そっか、保健室来たんだった…。

今何時かな。

生憎、保健室の先生はいなかった。

「歩ちゃん」
「ふぇっ??」

び、びっくりした!!

「おはよう」
「お、おは…って…なんで??」

私の真ん前にいるのは一ノ瀬君。

「だって北見君が朝一緒に来たはずなのに教室にいないから知らないかって言われたんだもん」
「…そうなんだ…」
「うん、だから保健室かなって北見君が言ってたから俺が行こうとしてた北見君を止めて俺がきたってわけ」
「え、いつからいたの??」
「んー、とね、二時間目前かな」

携帯を開く。

もう十二時前だった。

って事はもうすぐ四時間目。

しかも携帯には着信電話が四件。

それもこれも全部、凌君からだった。

「あ、そう言えば俺、まだ歩ちゃんの電話、知らないや」

一ノ瀬君は自分の携帯を出してそう言う

「…そうだね」
「交換しようよ」
「…うん」

私は一ノ瀬君のメールアドレスと電話番号を貰った。

「なんかあったら気軽に掛けてよ」
「うん…」

なんだかありがたかった。

「一ノ瀬君、授業行かなきゃ。休んじゃダメだよ」
「いいんだよ。先生には言っといたし」
「そういう問題では…」
「心配してくれてる??俺の平常点が下がるとか??」

一ノ瀬君は笑って私に言う。

「そうだよ??」
「ふは、なにそれ」
「だから授業を…」
「大丈夫だって。こう見えても俺、授業中真面目に聞いてるし」
「だから余計に困るっていうか…」
「そんなことより歩ちゃんが心配なの」
「…昨日は、ごめんね…」

一ノ瀬君はなにも悪くないのに。

やな思いさせちゃったかな。

「いや、俺は別に。なにかあった??北見君と」
「…」

なにもなかったって、訳じゃないけど。

でもこれは、私だけの問題。

凌君に言ったって…。

「俺に話してよ」
「え??」
「話、聞くよ」
「でも…」
「まあ、話したくないならいいけどね」
「…ごめん、ね…」
「いや、謝らなくていいよ。気が向いたら話して欲しい」
「…」

一ノ瀬君の顔は真剣だった。

吸い込まれそうで…。

「ありが、と」

私はそう、一ノ瀬君に言った。
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