愛しています

RRRRR

電話はやっぱり凌君だった。

どうしよう、心配してるよね。

だけど、出たくない…。

｢電話、大丈夫??｣
｢…ぅ、ん…｣
｢誰から??｣

私は一ノ瀬君に携帯の画面を見せる。

そこには北見凌という文字が載っている

｢北見君??俺がでよっか??｣
｢え、でも…｣
｢いいよ、貸してみ??北見君も心配してると思うし｣
｢うん…｣

私は携帯を一ノ瀬君に渡す。

｢…はい｣
『誰』

話し声が聞こえる。

｢一ノ瀬和です｣
『一ノ瀬??なんでお前が歩の携帯に…』
｢今一緒にいるんだ｣
『そう。歩は大丈夫なのかよ』
｢うん。今から俺が家に送るから、北見君は勉強の方、頑張ってね｣
『…別に』
｢まあ、勉強だけじゃないか君は…｣

すると

『『凌、今日も一緒帰るぞ』あ??あぁ』

あの子、日高陽菜の声がする。

声聞いたことないけど、そんな気がする

｢じゃっ、そうゆうことでー｣

一ノ瀬君は携帯を閉じる。

｢だってさ。聞こえてた??｣
｢うん｣
｢そっか｣

少し沈黙が続いた。

だけど、一ノ瀬君が

｢あの二人ってなんだろ。付き合ってるのかな｣

と言った。

｢さあ。分かんないよ｣
｢そっか。でも歩ちゃんって北見君と仲いいよね｣
｢そう、かな｣
｢だってそうじゃん。いつも一緒にいるし｣
｢私はいつもそうだよ??｣
｢…そうなんだ｣
｢当たり前でしょ??私達幼なじみなんだから｣
｢…え??幼なじみ??｣

一ノ瀬君は驚いた顔をする。

｢え、知らなかった??案外みんな知ってるよ??｣

そうだよね。

私達、ただの幼なじみだもんね。

｢そうだったんだ。なんだ｣
｢え??逆に知らなかったなんてびっくりしたよ｣

結構有名なんだけどな。

まあそうか。

凌君が皆から人気だから

凌君の情報は直ぐに広まる。

だから凌君の幼なじみが私だってことも

｢着いたよっ、ほんと今日はありがとね｣

家の前に着く。

わざわざ一ノ瀬君まで時間合わせてくれたんだもん。

｢全然いいよ。色々話せてよかった｣
｢ううん、気をつけて帰ってね。あ、それから今度は私がお礼させてね｣
｢別いいのに｣
｢いいのー｣
｢…分かった。楽しみにしてる｣

それから一ノ瀬君とバイバイした。