愛しています
Side -凌-
俺には小さい頃からずっと一緒にいた幼なじみ、歩がいた。

歩との出会いは施設だった。

隣は、俺の父が経営している病院。

そして、将来俺が継ぐところ。

いや、継がなければいけない。

それだけ。

決して自分で好んだわけではない。

俺の父さんは俺と血が繋がっていない。

言わばまぁ、他人。

母さんは俺の母さん。

親が小さい頃離婚して、母さんは再婚した。

だから俺の本当の父さんはよく覚えていない。

まあ小さい頃だしな。

覚えてなくて無理はないか。

小さい頃、それは歩とまだ出会っていない時のこと。

昔から体の弱い母さん。

うちの病院に入院している。

たまに顔を出すが少しづつ、元気もなくなり無理に笑ってる感が伝わってくる。

そして、痩せてきているのも現状。

実際どこまでもつかは俺も誰も分からない。

しかし病院にはそういう人がたくさん入院している。

そうやって人は、生きようとしている。

それが現実。

母さんが働けない分、今稼いでいる父さんに返さなくてはならない。

だから医者を継ぐんだ。

医者も給料はある程度納得する分はあるし。

その為には勉強をしなければならない。

だからたまに朝まで勉強とかあもありうる。

しかし勉強は嫌いではなかった。

だからまぁ、そこはいいとこ。

部活は何も入ってないが生徒会に所属している。

そして俺の成績。

トップ学年一位。

これはもう、ずっと前から変わらない。

これはどうしても崩せない。

父さんにいい知らせをするために。

医者を継ぐためにはこれだけじゃまだだ。

もっと努力しなければ。

だけど全てが勉強って訳じゃないよ??

遊ぶときは遊んでる。

最近、陽菜にも関わってるしな。

陽菜は周りからの印象があまり良くはなかった。

だけど最近俺といるせいか周りの態度がガラッと変わった。

正直そういうのはだるい。

俺だって、だるいと思ったことはだるいと思うしすべてが全てプラス思考に考えるわけじゃない。


歩。

ごめんな。

お前の気持ちに答えられず。

バカな男だよ、マジで。

俺、お前のこと本当は好きだよ。

女として。

ずっと歩だった。

だけど俺には恋愛をする余裕はない。

勉強と生徒会。

これだなんだ。


でも…

それでもまだ、俺のことが好きなのなら

俺は気持ちを伝えるよ。



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