愛しています

生徒会

凌君はいつも忙しそうにしていた。

自分の事は必ず後に回し

他人のこと、学校のこと

なにもかもまで

みんなの事を考えていた。

言葉は少しあれだけど、そういう人。

｢歩、今から会議なんだよ。どうする、先帰るか??｣
｢ううん、待ってる｣
｢そっか、いつもありがとな。なら、終わったら電話する｣
｢うん…｣
｢どうした??｣

凌君は私の顔をのぞき込んでくる。

｢えっ、ううん!!行ってらっしゃいっ｣
｢おうっ、行ってくる｣

凌君はそう言って生徒会室まで走って行った。

その間なにするか…。

だけどこういう時は最近よくある。

まぁ、生徒会長だもん。

当たり前か。

もう高校三年生だしね。

勉強でもしようかな。

て事は、図書室か。

私は図書室に行くことにした。

昔から、頭はそんなによくはない私。

だから私が図書室で勉強とか、本当に珍しいと思う。

それに、今の勉強なんてさっぱりで。

第一、この高校自体に入れたのもほんと奇跡だと思うんだ。

三年前、今思えばあの頃は本当に頑張ったと思う。

どんだけ寝ないで勉強したかな。

凌君も協力してくれて。

たくさん勉強したけど、辛くはなかったよ。

だってその頑張った高校を選んだ理由は

凌君なんだもん。

凌君が行くって知ったから私も行きた言って思った。

どうしても、同じ高校が良かったから。

そして、今同じクラスになれた。

高校二年の時だけ離れた記憶がある。

全部頑張れたのは、凌君のおかげなんだ

凌君から勉強を教えてもらったのもそうだけど

一番はまず、
凌君という存在だったかな。

｢あれ??…花野さん??｣

びっくりした。

後ろを振り返ると、そこには一ノ瀬君がいた。

一ノ瀬 和(いちのせ かず)君。

｢一ノ瀬君…｣
｢よお｣

それにしても、なんてこんなとこにいるんだろ。

｢なんでって顔してるね｣
｢へっ｣

とっさに出た声を抑える。

図星すぎて間抜けな声が出てしまった。

一ノ瀬君は、ははっと笑う。

｢今日俺、部活休んだんだよ｣
｢そう、なんだ｣
｢うん、今サッカー部大変なんだよね｣
｢どうかしたの??｣

特に話を聞きたいわけじゃなかった。

｢まあ、人間関係って言うのかな｣

一ノ瀬君は確かサッカー部の部長さんだったはず。

すごいプレイを毎回するとの噂も。

｢花野さんはなんでここにいるの??｣
｢凌君が生徒会行ってるから｣
｢あ、そっか｣

一ノ瀬君は静かに笑った。

｢じゃあ私、もう行くね｣
｢そっか。じゃあまた明日ね｣

一ノ瀬君は私に笑顔を向けた。