愛しています

一言で

放課後。

『あ、そうだ歩』
『なにー??』
『一ノ瀬に言っといてよ、明日部活こいって』

そう、凌君は言ってたっけ。

凌君は今頃、サッカー部の顧問の先生と話をしてるのかな。

『え、うん、分かった』
『じゃあさっさ終わらせてくる。また電話するよ』
『あ、うん』

とは言ったものの…。

私のバカっ!!

なんで一ノ瀬君見失うの!!

もー、凌君は話してくれてるってのに。

すっかり忘れちゃってたよ。

一ノ瀬君、まだ帰ってないよね。

私は靴箱を見る。

って言っても…待てよ。

出席番号が全くわからない。

どこの靴箱なのか。

なんで知らないのよっ。

いや、逆に知っていたらおかしいか。

どうしょ、本当。

一ノ瀬って、前の方だよね。

何番だったっけ。

いつもどの席に座ってたっけ。

えーっと、4、5らへんだっけな。

でも間違ったらかなりやばいよね。

てか、靴箱の前でウロウロしているこの私の姿もかなりやばい。

怪しい。

すると

｢…だよなー｣

きゃー!!

階段の方から男の人の声が聞こえた。

｢しかもさ、あれじゃん??｣

とりあえず落ち着け。

自分の靴を取るふりしてーのー

｢花野さ…｣
｢きゃあっ｣

な…。

いきなり私の名前を耳元で言われた。

やばい、変な声出た。

絶対怪しい。

｢ってえっ!!一ノ瀬君っ!!??｣
｢え、俺だけど…｣

苦笑いをする一ノ瀬君。

｢あっ、あのっ、言うことがあって…｣

そう私が言ったとき

｢告白でもすんの??｣
｢へっ｣

突然、一ノ瀬君と一緒にいた龍君がそんなことを言ってきた。

｢な訳だよね。水希先帰っていいよ｣

一ノ瀬君は龍君にそういう。

｢はいはーい、邪魔は退散しまーす｣

そう言って龍君は一人帰っていった。

｢で、どうした??｣
｢あ、あのね｣
｢うん｣
｢明日部活来てくれないかな｣
｢…なんで??｣
｢ごめんね、こんなこと言って…でも、明日はいってほしいな｣
｢まあ…考えておくよ｣

そう言って一ノ瀬君は帰って行った。