eternal Lovers
今はあたしにとりわけ好きな人がいるわけではない。
でも、キスされたからと言って、すぐ津川さんを好きになるとは思えない。
それに津川さんはバイト先の常連…
「華奈美はさ、『バイト先の常連』って津川さんを見てるでしょ?
とりあえず今はそれ外さなきゃ。外した上でどうしたいのよ?」
「うーん…なんとも思わないんだよねぇ…。」
「だよねぇ。好きでも何でもない人って何とも思わないんだよねぇ。」
「無理矢理好きになるって、好きとは言えなさそうだしさ…。」
「…もうさ、いっそ付き合ってみちゃえば!?」
「えっ!?」
「今は津川さんだっけ?その人の一部分しか見てないから、
また違う面を見ればもしかしたら好きになるかもしれないし。」
「うーん…。」
「悩むのも分かるけど、津川さんに悪いとか思ってるんでしょ!?」
「うん…あたしのこと好いてくれてるのは嬉しいんだけど、
それに対してあたしが何とも思ってないのは…。」
ピシッ!!
茉実の指がおでこに当たった。
「そうじゃなくて!!華奈美はこれから考えればいいの!!
今は津川さんの想いに答えなくて大丈夫!!」
「でも、それ、失礼じゃない?」
「かも知れないけど!!あっちだってダメ元だったかも知れないし、
それに何で好きな気持ちに好きで答えなきゃいけないの?誰が決めたの?」
「うぅ…。」
「華奈美はお人好しなんだよ。見かけによらず。少し鬼になりなさいっ。」
そう言って茉実はあたしの携帯を手に取り、勝手に操作し始めた。