eternal Lovers
「…今度は俺がびっくりだよ。」
「今度は付き合い始まったよっていう記念のキス。」
「普通そういうのってなんか、ムードとか、前振りとか、ない?」
「つ…爽太が前、突然あたしにしたから仕返しだよーっ!!」
「今、“津川さん”って言いかけただろ?」
「…ばれた?」
「思いっきり“つ”って言ってたもん。」
「あはは~…。」
やっぱりまだお互い恥ずかしくて、沈黙が続いた。
どうしようかな…と爽太を見た時、爽太もあたしを見ていた。
ムードって…これですか?
爽太も感じたのか、あたし達の顔が少しずつ近づいて行く。
あたしはゆっくりと目を閉じてみた。
閉じ切った頃に、唇が重なった。
今度は長く、でもお互いの気持ちが伝わり合うように、しばらく口づけていた。
自然と唇が離れてお互いの目が合った時、照れてはにかむ爽太がいた。
あたしはこつんと、爽太のおでこに自分のおでこをつけた。
「今度こそ、始まりの記念のキスだね。」
「そうだな。」
初夏の夜、少し肌寒く感じていた。
暖めあうかのようにあたし達はぴったり寄り添って、夜空を眺めていた。
出逢いと始まりのキスをした、始まりの場所で。