Kiss of a shock ~涙と~
プロローグ
幼い頃の事だ。
確か、10歳にもなっていなかった。
梅雨の頃だったかその日は、雨が降っていた。
降りしきる雨の中、直人は健二と向かい合い、無言のまま立ち尽くしている。
ふたりともずぶぬれであったが、そんなことはどうでも良かった。
はるか後方から祖父が駆けてくるのが分かった。
先に沈黙を破いたのは健二の方だった。
「結局、良いところは全部、お前が持っていくんだ。」
雨ではない、溢れる涙を頬に伝わせる。
確か、10歳にもなっていなかった。
梅雨の頃だったかその日は、雨が降っていた。
降りしきる雨の中、直人は健二と向かい合い、無言のまま立ち尽くしている。
ふたりともずぶぬれであったが、そんなことはどうでも良かった。
はるか後方から祖父が駆けてくるのが分かった。
先に沈黙を破いたのは健二の方だった。
「結局、良いところは全部、お前が持っていくんだ。」
雨ではない、溢れる涙を頬に伝わせる。
< 1 / 347 >