Kiss of a shock ~涙と~
背を向けて歩き出した男に、あっと声をかけた。


けれど、男は立ち止まりも振り返りもしない。


万理香はスマフォを拾うと、後を追って言った。


「あ、あの…。」


…と、そこまで言って言葉を止めた。


何を言おうというのだろう。


名前は?

連絡先は?


そんなこと、「あんたに関係ない」って言われたらーー。


あ、あれ?


そんな事を悶々と考えながら、後をついて行くうちに、万理香は自分のマンションの方向に進んでいることに気づいた。
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